2018年07月24日

出版業界が若返るために

先日、トランスビューさんについて書きましたが、持ち上げ過ぎとも言われましたが、僕はトランスビューさんには何も貸し借りないので、トランスビューはすごいんですけど、それを知らしめるために書いたわけではないです。なぜ書いたかというと、ずっとこの日本は出版社の起業が大変な時期が続いております。正規ルートの取次に口座を開くのは、保証人立てろ、低正味、注文も支払いは一部留保で半年後支払い、定期的に新刊を委託しないと、前の委託の分の支払いは次の新刊が出るまで払わないなどなど、いろいろとハードルが高くて新規参入を阻んでいます。そんな日本で、資金力も比較的少なくても、取次を通さずに全国の販売力のある有力な書店に、小零細の出版社の本を流通させることを可能にしたトランスビューが出てきて、やっと少しずつですが、小零細の出版社の起業が増えてきている気がします。あともう一社触れておかないといけない小取次のJRCなども、小零細の出版社の本を取り扱って起業を助けてきましたね。ここの存在も大きいと思います。このJRCは、かつて人文書・専門書の取次で有名だった鈴木書店が倒産後に、そのメンバーを中心に起業した小取次ですね。人文書・専門書は中小の書店ではあまり多くは取り扱ってはくれませんが、ジュンク堂書店をはじめ最近増えてきた大型店では欠かせないジャンルですし、たくさんは売れなくても確実に読者がいて、かつ高単価で売れる書籍が多いです。もう本は、薄利多売の時代は終わったと僕は思いますが、こういった人文書・専門書の流通を減らさないという動きも、今後出版業界の奥行と深みを落とさないためにも、さらに重要な要素になると思います。

このまま出版社の新規参入を阻み、活きの良い若い出版社が芽吹かないと、確実にどんどん既存の、悪く言うと既得権だけで、たいして活力も本当は無くなってしまっている老体の版元が、取次と高正味で取引したまま残って、どんどん業界が衰退していくだけかと思うのです。

出版業界が斜陽産業になってしまったのは様々な原因があるけれども、時代に合わせて変化できなかったのは、若い版元、若い出版人がなかなか起業できない環境があったせいでもあると僕は思います。

隣の中国は、私と同年代、40歳代前後の若い起業家がたくさん出てきていて、かつての日本の戦後のように活気が溢れているのを、北京でこの目で見てきました。

老人たちを追い出して、日本の出版業界に新しい風を吹かせよう!!

だろう!

そうだろう!!!

ねえ


この記事の執筆・監修者

春日俊一(かすが・しゅんいち)
株式会社アルファベータブックス代表取締役。埼玉県生まれ。
若い頃はシンガーソングライターを目指しながらフリーター。その後、書店員、IT企業、出版社の営業部を渡り歩いたのち、2016年にアルファベータブックスに入社。2018年に事業承継して代表取締役に就任。