2018年10月07日

編集者とは その二

鷲尾賢也氏の著書『編集とは どのような仕事なのか』。いいことがいっぱい書いてある。

「編集者ほど、人間が好きでないとやっていけない職業もないだろう。専門があるわけでもない。特別の技術を持っているわけでもない。著書をはじめ、装丁家、印刷所、製本所、取次、書店、あらゆる仕事を外部に依存している存在である。つまりいってしまえば、「ひとの褌で相撲をとっている」のである。さまざまな人間がいる。おかしな人、変わった人、すぐ怒る性格、いじける気質、くどいものいい、百人百様である。その人たちとネットワークを組み、自分は無力であっても、その中心にいるのが編集者である。ならば人間をおもしろいと思わなければ、やっていけないことは自明だろう。」

まさに言い得ている。

僕は出版社に入る前に3つの会社、4店舗の書店で計7年ほど書店員をしていたが、本も好きだったけど、接客も好きだった。自分が作り上げた棚から本を買っていただいたお客様に、心から「ありがとうございます」と言えたものだが、店舗の接客ででもない限り、なかなか1日に何度も他人に「ありがとうございます」という機会もない。接客は多数の他人と直接触れ合える仕事だ。
編集者は、特定の他人と深く長く本づくりで関わる仕事だ。なので、かなり嫌な面もお互い見せる場面も出てくるので、もっと人が好きでないと務まらない。

僕はどちらかというと内向的な性格だが、それでも人が好きだし他人と関わって仕事ができることが喜びにつながるタイプだ。そういう意味では編集者に向いていたのかもしれない。


この記事の執筆・監修者

春日俊一(かすが・しゅんいち)
株式会社アルファベータブックス代表取締役。埼玉県生まれ。
若い頃はシンガーソングライターを目指しながらフリーター。その後、書店員、IT企業、出版社の営業部を渡り歩いたのち、2016年にアルファベータブックスに入社。2018年に事業承継して代表取締役に就任。