書籍には「発売日」というものは、本当は存在しない
基本的に超メジャーな書籍(ハリーポッターとか村上春樹の新作とか)でもない限り、書籍に明確な発売日がないことは、あたりまえですが、出版業界の中の人間しか知りません。へたすると書店でも知らない人が結構いたりします(時々電話で書店に説明します)。
他業種ではあたりまえのことでも、出版業界は様々な事情であたりまえでないことがあります。
毎日数百点出る新刊書籍を、しかも出版社(数千社ある)→取次(数社ある)→書店(一万以上ある)という細かい物流の中で、発売を同じ日に揃えることはその管理コストもかかるしで、基本できません。
(雑誌が決まった発売日で出せるのは、まず点数が書籍みたいに多くはないのと、定期的に毎月何日に取次に何部入れるとか、事前にスケジュールが長期間組まれているから、計画的に手配できるからみたいですが。雑誌を出してる出版社にいたことがないので明確なことは分かりませんが)
以下、分かりやすくネットで書いていた人がいたので、貼り付けます。
https://iidabashiueno.wordpress.com/2012/05/28/publish/
とはいえ、広告や宣伝の時は、「何月上旬発売」「何月何日頃発売」とかだと、「何月何日発売!」とか入れないと、なんか歯切れが悪すぎるし、何周年とかに合わせると、やはり広告宣伝には日付を入れたいので、取次の搬入日から2~3日後ぐらいの日を発売日に設定して広告宣伝したりすることがあります。
が…それでも地方の小さい書店とか、物流事情が悪い書店は、本の到着がさらに遅れるので、書店や読者から「発売日に行ったけど本が届いていない」とクレームが来たりします。
しかも我々出版社は、取次に本を入れた日は分かりますが、そこから先はすべて知ることはできないので、取次さん任せですから、何日に全国の書店それぞれに届くかも知らないのです。
それが実情です。
この記事の執筆・監修者
春日俊一(かすが・しゅんいち)
株式会社アルファベータブックス代表取締役。埼玉県生まれ。
若い頃はシンガーソングライターを目指しながらフリーター。その後、書店員、IT企業、出版社の営業部を渡り歩いたのち、2016年にアルファベータブックスに入社。2018年に事業承継して代表取締役に就任。