2021年04月16日

経営のことが、やっと分かってきたような気がする

今月で、ゼイゼイ言いながら、やっと、経営者になって3年を生き延びたことになる。

この間、数千万円の金を融資してもらい、数千万円の金を返済した。
冷静に考えると、よくもまあ、この俺が、という感じだ。

決算書の見方、というかその数字の真の意味もやっと分かってきた(遅い?)。

経営のこと、その中でも会社を潰さないために最も重要な資金繰りのことも、やっと身に染みて分かってきた。

取次会社に、書店に本を配本してもらって売上を集金してもらい、その売上金で経営を回す、取次会社との取引条件が悪い弊社のような小さな出版社は、売上の回収までにかかる6ヶ月という時間と、返品が何冊返ってくるのか、実際に返品が返って来るまで誰にも正確に予測できないという状況下では、決算書や試算表を見ただけでは、経営の危機に繋がる危険な兆候を事前に見つけにくい。

資金繰りをうまく回すためには、毎月か、最低でも3ヶ月に一回は資金繰り表をつけた方がいい。
資金繰り表をつけてみれば、現状の売上と粗利と販管費と借金の返済額で進んでいくと、この先どうなるのか、いつ現金が底をつくのか、逆にどれぐらいの売上と粗利と販管費と借金の返済額のバランスでいけば、会社の現金が増えるのかが、よく分かる。

なので、すごくシンプルに考えると、決算書の見方の知識なんかなくても、毎月現金がいくら出ていき、いくら入ってくるのかを経営者が記憶するぐらい把握していれば、小さい出版社の資金繰りは失敗しにくいと思う。

それができた上で、決算書のことも勉強して、数字を良くして行って、銀行などの金融機関に好印象を与えられる内容にして、融資を継続して受けられるようにし、かつ利益も、法人税や消費税を、資金繰りに影響が出ないぐらいの適切な金額になる数値で締める、ということが必要なのだ。

私は経営者になって3年間、今思うと上記のことと優先順位が逆のこと、決算書上の売上と利益の数字ばかりを良くすることに集中し過ぎたように思う。
決算書の数字が良くなっても、それによって銀行から融資は受けられるが実際の資金繰りは改善していなくて、負債を増やし続けていたのだ。

今期は、その反省を踏まえて、身の丈にあった、資金繰り安定重視の、キャッシュフロー経営をすることに最大限の注意をはらっている。

結果、最も売上と利益が高かった2期前の決算より売上はかなり落ちたが、資金繰りは安定してきている。

やっと見えてきて経営の本質。あとは出版の内容と質の向上と、宣伝営業と販売チャネル増により、さらなる利益増を目指して頑張ることに尽きる。

それと、このコロナ禍が早く終わることを祈るだけだ。


この記事の執筆・監修者

春日俊一(かすが・しゅんいち)
株式会社アルファベータブックス代表取締役。埼玉県生まれ。
若い頃はシンガーソングライターを目指しながらフリーター。その後、書店員、IT企業、出版社の営業部を渡り歩いたのち、2016年にアルファベータブックスに入社。2018年に事業承継して代表取締役に就任。