2024年06月22日

大企業や大手の企業だけで世の中がまわっていると思うなよ

この動画を見て思うことが多々あったので、ここに書きます。

一人の日本の中小零細企業の経営者として吠えたいのです。

大企業が史上最高益出してる。でもその最高益、本当にその大企業だけで成し得たものなのか? 汗を流した人は大手企業の人たちだけなのか?

出版業界も大手版元はこの間、史上最高益を出している。それは、その大手版元だけで成し得たものなのか?

書店、作家、外部の編集者、外部の校正者、デザイナー、取次会社、印刷会社、製本会社、物流会社、個人事業主のトラック運転手、他にもたくさんの大手版元の取引先や、その取引先の下請けの人達の血と汗のうえに最高益を出してんじゃないのか?

でもほとんどの人達が儲かってない。大手版元の一部の人間だけが儲かっている。もっと還元しろよ、という気持ちだ。

私はリアルに知っているが、まあ普通に昔から行われていることなので、誰でも知っていることかもしれないけど、某大手出版社のベストセラーを実際に編集制作してるのは編集プロダクションだったりするが、その編集プロダクションから、私の身近なデザイナーが、DTPの仕事を外注で依頼された。驚いたのはその料金だ。私が経営する零細出版社の料金の三分の一ぐらいだった。私は驚愕した。

こんな安い金額で働かせて作られた本がベストセラーになるのかと……そして儲かるのは誰なのかと……。

ベストセラーは書店や取次にとっては経営を支えるために必要で、それは我が社にとっても巡り巡って業界が潤う恩恵を受けられるから、ありがたいものである。それは分かっている。だけど、なにか喉の奥に魚の骨が引っかかったようなモヤモヤした気持ちになるのは、なぜだろう……。

日本の企業の99.7%は、中小企業だということを忘れてはならない。出版業界も数社の大手以外は、そのほとんどが小零細企業なのである。


この記事の執筆・監修者

春日俊一(かすが・しゅんいち)
株式会社アルファベータブックス代表取締役。埼玉県生まれ。
若い頃はシンガーソングライターを目指しながらフリーター。その後、書店員、IT企業、出版社の営業部を渡り歩いたのち、2016年にアルファベータブックスに入社。2018年に事業承継して代表取締役に就任。